【特集】茨木市に新たな鉄道路線構想?

JR、阪急、モノレールが通り利便性が高い茨木市。しかしこれらの既存の路線に加えて、新しい鉄道路線の構想があることはご存じでしょうか?


その鉄道路線とは、占部相馬府議が公約に掲げた「東海道貨物支線の旅客化」です。


東海道貨物支線とは、茨木駅と千里丘駅の途中でJR京都線から分岐して茨木市南部に位置する大阪府中央卸売市場を通り、大阪貨物ターミナル駅までを結びます。この路線は途中阪急南茨木駅付近や、市南部の鉄道空白地域を通ります。中央卸売市場の引き込み線は現在休止状態となっています。貨物列車は上下合わせて一日あたり32本走っています。


現在この計画がどの程度進んでいるかというと、「全く動きがない」と言って良いと思います。構想の発案者である占部議員は府議会選挙で当選した後、この鉄道構想について一切触れていません。


このように貨物線を旅客化するという事例は最近にもありました。それはおおさか東線として2019年3月に開業した城東貨物線です。占部議員はおおさか東線の盛り上がりを見て、東海道貨物支線の旅客化を公約としたのだと思います。


また、この実現にはかなり困難があると思われます。

まずはなんといってもコストの問題。貨物線を旅客用に作り替え、運行を開始したとしても黒字になるかどうかは不透明です。設置されると予想される駅は、阪急南茨木駅付近、真砂付近、中央卸売市場付近、大阪貨物ターミナル駅付近の4駅で、接続線は阪急京都線のみです。中央卸売市場や貨物ターミナルでは、それぞれの場所や周辺の工場などにに通勤する人の利用多少あるかもしれません。しかし需要予測もされていない状態であり、どれほどの利用者がいるのかは全くわかりません。

また、東海道貨物支線は城東貨物線と異なり、JR西日本ではなくJR貨物が所有している線路のため、JR西日本が営業するためにはJR貨物との調整が難しくなります。

そして、東海道貨物支線が合流する先でどこに接続するのかという問題です。現在東海道貨物支線は千里丘方面に接続していますが、貨物線側の線路へ繋がっているため、千里丘駅から東淀川駅までの各駅への停車はできません。また、旅客線へ接続しようとしても、普通列車が通る内側線に接続するためには外側線をまたぐ必要があり、工事費が増加します。

さらに、JR京都線のダイヤに空きをつくることが難しいという問題もあります。朝ラッシュ時には内側線に1時間に20本近く電車が走っています。これ以上増発することは難しいと思います。

また、千里丘駅が乗換駅となった場合、茨木駅の地位低下が懸念されます。


これらの問題から、この計画は実現が難しいと言わざるを得ません。しかし実現すれば沿線住民の利便性は向上するかもしれません。今後の動向に注目です。

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